2008年12月25日木曜日

産業発展とものづくりの設計思想-「すり合わせ能力」過信禁物


柴田友厚(香川大学)の分かりやすい良い論文というか記事を読みました。

インテグラル型とモジュール型について分かりやすく説明していて面白かったです。

良い勉強になったので。。


柴田友厚は産業発展の過程を「製品アーキテクチャー」という視点から見ると産業の発展過程とは、製品アーキテクチャーを循環させながら次第に高度化していくプロセスであることが明らかになってきたといっている。

「製品アーキテクチャー」とは、製品をどのような構成要素に分割し、構成要素間をどのようにつなぐのかという設計思想のことで製品アーキテクチャは次の2つの型に分けられる。
1.構成要素間に緊密で複雑な相互依存関係が形成されている「すり合わせ型」と呼ばれる
インテグラル型 

(代表的な製品:車==>車は部品の関係が複雑で、細かい調整とすり合わせが必要) 

2.構成要素間の依存関係がルール化され独立性が高い「組み合わせ型」と呼ばれる モジュール型 
(代表的な製品:パソコン==>パソコンは標準化された部品を組み合わせることで、容易に製品ができる) 


産業の初期はインテグラル型で始まり、成長するにつれてモジュール型になる。そして、そのモジュール型は革新的要素技術により、またインテグラル型に移行する。つまり、インテグラルとモジュールは循環するとのことである。

日本企業はインテグラル型を得意とし、モジュール型が苦手である。日本企業が高度な調整能力を持つことは紛れもない事実であるが、調整能力に過度に依存することは、イノベーションの将来にとって危険である。



インテグラルからモジュールへの移行は、同じ技術体系の中で、デザインルールを次第に創造していく学習過程であり、モジュールからインテグラルへの移行は技術体系の転換を伴う意味でパラダイムの転換である。